日本で会社を設立、経営管理ビザの取得を検討している方から、よく次のような質問をいただきます。
・まだ海外にいるが、日本に行かずに申請できるのか?
・来日前にどこまで準備すればいいのか?
・会社設立は日本に行かないとできないのか?
・誰かに手続きを任せることはできるのか?
結論から言うと、海外にいながらでも経営管理ビザの申請は可能です。
ただし、
・会社設立
・事務所の確保
・資本金の準備
など、事前にクリアすべき条件が多く、準備不足のまま申請すると不許可になるリスクが高いのも事実です。
この記事では、海外から経営管理ビザを申請する方法と来日前に行うべき手続きについて、分かりやすくお伝えします。
1.海外から経営管理ビザは申請できるのか
結論として、海外から経営管理ビザの申請は可能です。
ただし、直接ビザを申請するのではなく「在留資格認定証明書(COE)」の取得が前提となります。
在留資格認定証明書とは、日本で行う予定の活動内容が入管法上の在留資格に該当することを証明する書類で、日本国内の地方出入国在留管理局で審査されます。
この証明書を取得した後、海外の日本大使館・領事館で査証(ビザ)発給を受ける流れになります。
つまり、海外在住者が行うべき手続きは以下の2段階です。
・日本国内で在留資格認定証明書を取得
・自国の日本大使館でビザ発給
ちなみに、申請自体は日本国内で行う必要があるため、本人に代わって行政書士や協力者が申請するケースが一般的です。
2.海外申請の基本的な流れ(来日前手続き)
海外から経営管理ビザを取得する場合の標準的な流れは次の通りです。
①事業計画の策定
まずは日本で行う事業内容を具体化し、事業計画書を作成します。
事業の実現可能性、収益性、継続性が審査の重要ポイントとなるため、単なるアイデアではなく、数値計画や市場分析を含めた実務レベルの計画が必要です。
特に2025年の法改正以降は、事業計画について「専門家の確認」が求められ、より客観的な裏付けが重視されています。
②会社設立の準備
経営管理ビザでは、実体のある事業体の存在が必要です。
そのため、会社設立の準備を来日前に進める必要があります。
具体的には以下の準備が必要です。
・定款作成
・発起人・役員の決定
・出資金の準備
・事業所(オフィス)の確保
日本に住所がない場合、銀行口座開設や登記手続きが難しいので、日本在住の協力者や専門家のサポートが不可欠になります。
③資本金の準備・送金
従来は500万円以上の出資が基準でしたが、2025年10月16日以降は新規申請において資本金3,000万円以上が求められるようになりました。
この資本金は、単なる見せ金ではなく、実際に事業に使用される資金であることが求められます。
資金の出所や送金経路についても説明可能な状態にしておく必要があります。
海外からの送金の場合、銀行記録や契約書などを証拠として整備しておくことが重要です。
④事務所の確保
経営管理ビザでは、日本国内に独立した事業所が必要です。
バーチャルオフィスや単なる住所貸しでは原則として認められません。
2025年改正以降は、事業実体の確認がより厳格化されていて、自宅兼事務所についても慎重な判断がなされます。
契約書、間取り、使用状況の写真など実際に事業が行われる環境であることを証明する資料の準備が重要です。
⑤在留資格認定証明書(COE)の申請
上記の準備が整ったら、日本国内の入管に対して在留資格認定証明書の交付申請を行います。
提出書類の一例は以下の通りです。
・事業計画書
・登記事項証明書(設立後)
・賃貸借契約書
・資本金の証明資料
・会社の決算見込み資料
審査では「事業の実体性」「継続性」「安定性」が重点的にチェックされます。
⑥海外でビザ申請・来日
COEが交付された後、本人が自国の日本大使館・領事館でビザ申請を行います。
通常は数日〜数週間で査証が発給され、その後来日可能となります。
来日後は、住民登録・銀行口座開設・各種届出を行い、本格的に事業を開始します。
3.2025年法改正と海外申請への影響
2025年10月16日の改正により
経営管理ビザの審査は大きく厳格化されました。
主なポイントは以下の通りです。
・資本金:500万円 → 3,000万円
・常勤職員1名以上の雇用義務
・日本語能力(N2相当)要件
・経営経験または学歴要件の追加
・事業計画の専門家確認
これにより、「形式的な会社設立」では許可が難しくなり、実体ある事業運営が求められるようになりました。
海外申請においても同様で、以下の点がより重要になります。
・実際に日本で事業を行う意思と体制
・雇用・資金・事業計画の具体性
・日本との継続的関係性
単なる投資目的や移住目的と判断されると、不許可となるリスクが高まっています。
4.海外申請で失敗しやすいポイント
海外からの経営管理ビザ申請で不許可となる主な原因は次の通りです。
①事業実体が不十分
ペーパーカンパニーと判断されると許可は下りません。
事務所、設備、契約関係などの実体が必要です。
②資金の説明不足
資本金の出所や送金経路が不明確な場合、
不正資金と疑われる可能性があります。
③日本での管理体制不足
来日前の段階で、日本での事業運営体制(協力者・従業員など)が不明確だと継続性に疑問を持たれます。
④事業計画の甘さ
収支計画が非現実的、または説明不足の場合、審査で不利になります。
まとめ|海外申請は可能だが準備がすべて
海外から経営管理ビザを申請することは制度上可能ですが、日本国内での準備がほぼ完了していることが前提となります。
特に2025年の法改正以降は、
・資金力
・雇用体制
・事業の実現性
が厳しく審査されるため「来てから準備する」という考え方では通用しません。
実際の申請では、
・日本側の協力者の確保
・行政書士など専門家の活用
・事前準備の徹底
が成功の鍵となります。